当研究室で新しく同定した5-oxo-ETE受容体(hGPCR48)の解析を行っています。 現在は5-oxo-ETE受容体が引き起こす細胞内情報伝達や細胞遊走活性の解析を、 この受容体を発現させたCHO細胞を用いて行っています。


(以下は以前に書いた総説の抜粋で、少し内容が難しいです。)

 アラキドン酸代謝産物である5-oxo-eicosatetraenoic acid(5-oxo-ETE)は好中球や好塩基球の遊走活性因子と知られていて、炎症やアレルギーに関わっていると考えられている。 5-oxo-ETEに対する受容体は不明であったが、 我々がコンピュータを利用してヒトゲノムシーケンスから検索した新規のGタンパク質共役受容体 (GPCR)の中の1つであるhGPCR48が5-oxo-ETEに対する受容体であることを同定することができた。


↑;アラキドン酸から5-oxo-ETEなどへの代謝経路

 



↑;hGPCR48とGタンパク質ai1サブユニットの融合タンパク質を用いた[35S]-GTPgS結合活性化測定の実験。5-oxo-ETE()、 5(S)-hydroperoxy-eicosatetraenoic acid(5(S)-HpETE)()、 5-HETE() によって活性化された。各化合物のEC50の値は 5.5nM、19nM、1.4μMであっり、5-oxo-ETEについて既に 報告されている好中球細胞膜への結合、好中球や好塩基球の遊走活性、細胞内Ca2+イ オンの増加を示す値と基本的に同じであっ た。 



↑;ヒトの各臓器から調製したRNAを用いたhGPCR48のRT-PCR


↑;ニホンザルの脳各部位から調製したRNAを用いたhGPCR48のRT-PCR

 

このようにhGPCR48は肝臓や腎臓で高レベルに、中枢神経系で低レベルに発現しているのでこれらの臓器で生理作用を及ぼしていると考えられる。

現在ではhGPCR48はOXER(5-oxo-ETE受容体)と呼ばれている。



↑;同定された5-oxo-ETE受容体の遺伝子配列とアミノ酸配列 

 

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